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2006年08月30日

●陳舜臣『小説十八史略』

今日は陳舜臣『小説十八史略』を紹介します。

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『十八史略』というのは中国の元(日本だと鎌倉時代ごろ)の時代に生きた曾先之(そうせんし)という人物が18の歴史書のダイジェスト版として書いた作品で、中国の伝説の中で登場する三皇五帝の時代から南宋が元によって滅ぼされる1279年までの時代を扱っています。

【参考:十八史略―Wikipedia


そして今回紹介する『小説十八史略』は『十八史略』を踏み台にして、著者の推理を盛り込み、数千年の歴史を描いたものです

まず読んで感じた事は「生々しい人間ドラマ」だという事。

前漢(B.C206?A.D8)の時代だけでいうと…

権力の頂点に上り詰め、かつての家臣に裏切られる不安から粛清に走る漢の高祖劉邦。劉邦のこうした動きを察知し隠遁生活に入った謀臣張良。庶民から皇帝の位に就き、儒教の形式的な儀礼を廃し儒者を側近から遠ざけ、現実的な政策を推し進めた「中興の祖」宣帝。周代への復古精神に燃え、漢王朝を簒奪したが、現実を見据える事が出来ずに世の中を混乱に導き、戦乱の中命を落した王莽…

ここでは書ききれないほど数多くの人物が登場し、歴史とは壮大な人間ドラマであるということを強く感じさせてくれます。



さらに数多くの故事成語の由来も数多く取り上げられているため、非常にとっつきやすい出来上がりなってます

「衣食足りて礼節を知る」「完璧」「四面楚歌」「捲土重来」「呉越同舟」…

これらの由来に思わず「へぇ」となること間違い無しです^^



そして著者の好みが反映されているのでしょうか。時代によって記述の充実度が顕著にみられます。春秋戦国時代、漢王朝、三国時代、唐王朝の記述が多く、それら以外の時代(特に唐滅亡から南宋滅亡にかけての時代)の描写がさらっとしている印象を持ちました。

とはいっても三国時代を終わらせた西晋の滅亡から隋による統一にかけての五胡十六国時代と唐滅亡から北宋成立の過渡期に当たる五代十国時代は個人的に全然無知だったので、この2つの時代をこの作品を通じて概観できただけでも読む価値が十分にあったと思っています。


このように時代によって充実度の大きな違いはありますが、全体的に中国の古代から近世にかけての歴史の「ダイジェスト版」なので、中国の歴史に詳しい人にとっては物足りなさを感じるかもしれません

よってこの作品は「中国の歴史の入門書」であり、読後に各自が興味関心の持った時代の本を買い進めるといった本の購入がベターかと思います。








もしよかったらクリックしてね^^

スレッドテーマ:歴史・時代小説:本・雑誌

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